概要|Lineaがトークン発行を発表、その狙いとは?
イーサリアムのレイヤー2(L2)ソリューション「Linea」が、独自トークン「LINEA」の発行計画を明らかにしました。Lineaを開発するConsenSysは、ETH(イーサリアム)との強力な連携を重視した設計方針を打ち出し、イーサリアムエコシステムのさらなる発展を目指します。特に注目されるのは、公開企業のSharplinkをはじめとする複数の企業と結成した「Lineaコンソーシアム」が、LINEAトークン総供給量の75%を管理するという点です。本記事では、Lineaの技術的背景からトークン配布戦略、今後の展望まで、詳しく解説していきます。
イーサリアム(Ethereum/ETH)は、ビットコインに次ぐ時価総額を誇り、世界中の開発者や投資家から注目され続ける仮想通貨・ブロックチェーンプラットフォームです。2025年の現在、AIやDeFi(分散型金融)、NFT、分散アプリ(DAp[…]
Lineaとは?|イーサリアムのスケーラビリティを担うレイヤー2
Lineaは、イーサリアムのスケーラビリティ(拡張性)を向上させることを目的としたレイヤー2(L2)ソリューションです。イーサリアムのメインネット(レイヤー1)上で動作しながら、取引処理をオフチェーンで行うことで、手数料の削減と処理速度の向上を実現します。
主な特徴
- イーサリアムのセキュリティを継承
- 低コストでの高速な取引処理が可能
- イーサリアムの仮想マシン(EVM)と互換性があり、既存のDApps(分散型アプリケーション)がそのまま移行可能
ConsenSysのLinea責任者であるDeclan Fox氏(公式X:https://x.com/declanfox14)は「LineaはETH資本のためのチェーンになる」と語っており、イーサリアムエコシステムにおける重要なインフラとしての位置づけを明確にしています。
DApps(ダップス)は、中央管理者がいない分散型のアプリケーションとして、新たなデジタルエコシステムを形成しつつあります。特に、ブロックチェーン技術を基盤とすることで、透明性や信頼性を確保し、従来の中央集権型アプリケーションでは難しかった[…]
トークン配布戦略|Sharplinkとの提携の意図
Lineaコンソーシアムの役割
Lineaは、以下の企業・プロジェクトと共に「Lineaコンソーシアム」を結成し、トークン配布の75%を管理
- Sharplink:公開企業で、イーサリアムを大量に保有するトレジャリーカンパニー
- ConsenSys:Lineaの開発元
- Eigen Labs:分散型ネットワークの開発を手がける
- ENS Labs:イーサリアムネームサービス(ENS)の開発チーム
- Status:モバイル向けイーサリアムクライアントの開発元
コンソーシアムは、ネットワークとイーサリアム自体の成長を促進するために、トークンを「慎重に配布」する役割を担います。
トークンの配布先と目的
LINEAトークンは以下のような対象者・目的で配布される予定です:
- 一般ユーザー
- 開発者(ビルダー)
- 流動性プロバイダー
- 機関投資家
- コンテンツクリエイター
独自の経済モデル
Lineaは、以下のようなユニークな経済モデルを採用しています
- 手数料の20%をETHでバーン:ネットワークで発生する手数料の20%はETHでバーン(消却)されます。
- 残り80%でLINEAトークンをバーン:手数料の80%はLINEAトークンの買い戻し・消却に充てられ、ネットワークの利用が活発になるほどトークンが希少になる仕組みです。
この仕組みにより、ネットワークの利用が増えるほどトークン価値が上昇する「デフレーション型」の経済モデルが実現します。
技術的な革新性|イーサリアムとの強力な連携
Lineaの特徴は、単なるスケーリングソリューションを超え、イーサリアムの価値を高める設計がなされている点にあります。
ネイティブイールドの仕組み
Lineaでは、ブリッジされたETHに対して自動的に利子が付与される「ネイティブイールド」の仕組みを導入しています。これにより、ユーザーは流動性を提供するだけで受動的な収入を得ることが可能になります。
イーサリアムとの調和
Lineaは「イーサリアムの拡張」という位置づけを強く意識しており、単に取引をオフチェーンに移行するだけでなく、イーサリアムの価値を高めることに注力しています。これは、一部のL2ソリューションがイーサリアムから価値を奪っているという批判に対する回答とも言えるでしょう。
今後の展望と投資家への影響
市場での位置づけ
Lineaは、他のL2ソリューションと比較して、以下の点で差別化を図っています:
- イーサリアムとの強力な連携:トークン設計から経済モデルまで、イーサリアムとの整合性を重視
- 機関投資家の受け入れ:Sharplinkのような上場企業をコンソーシアムに迎え、機関投資家へのアプローチを強化
- 持続可能な経済モデル:デフレーションモデルによるトークン価値の維持
投資家が注目すべきポイント
- コンソーシアムの動向:トークン配布の75%を管理するコンソーシアムの今後の展開に注目
- ネットワークの成長:DAppsの採用状況やTVL(Total Value Locked)の伸び
- イーサリアムの動向:イーサリアムのアップデートやL2ソリューション全体の動向
まとめ
Lineaのトークン戦略は、単なる資金調達を超え、イーサリアムエコシステム全体の成長を促進することを目的としています。Sharplinkをはじめとする有力企業との提携や、イーサリアムとの強力な連携を特徴とする同プロジェクトは、今後のL2ソリューションの在り方に新たな1ページを加える可能性を秘めています。特に、トークン配布の75%をコンソーシアムが管理するというユニークなアプローチは、エコシステムの健全な発展を促す試みとして注目されます。
今後の展開に注目が集まる中、Lineaがどのようにイーサリアムエコシステムに新たな価値をもたらすのか、引き続き観察していく必要があります。
用語解説
- レイヤー2(L2):ブロックチェーンのスケーラビリティを向上させるためのソリューション。メインチェーンの外で取引を処理し、その結果をメインチェーンに記録する。
- トークンバーン:トークンを永久に使用不能なアドレスに送金し、流通量を減らすこと。希少性を高める効果がある。
- コンソーシアム:複数の組織が共通の目的のために協力するための連合体。
- DApps:分散型アプリケーションの略。ブロックチェーン上で動作するアプリケーション
本記事参考サイト:https://linea.build/