はじめに
米国を代表する暗号資産取引所のコインベース(Coinbase)が、2024年第2四半期(4月~6月)に2,509BTC(当時のレートで約2億2,200万ドル相当)を取得したことが明らかになりました。この取得により、同社はテスラを上回り、企業のビットコイン保有ランキングでトップ10入りを果たしました。ブライアン・アームストロングCEOは「コインベースはビットコインに対してロングポジションを取っている」と宣言し、同社のビットコインへの強いコミットメントを改めて示す形となりました。
ビットコイン(BTC)は、2009年の誕生から15年以上が経過した今もなお、仮想通貨市場の「基軸」として世界中から圧倒的な注目を集めています。ETF承認や法定通貨化、半減期を経て、2025年も「なぜビットコインは買う価値があるのか?」と疑問[…]
コインベースのBTC取得の概要
コインベースは2025年第2四半期の決算報告で、2,509BTCを取得したことを明らかにしました。主な取得内容は以下の通りです
取得時期 | 2025年4月~6月(第2四半期) |
取得量 | 2,509BTC |
取得コスト | 約2億2,200万ドル(1BTCあたり約88,500ドル) |
現在の保有量 | 11,776BTC(2024年8月1日時点) |
評価額 | 約13億5,000万ドル(1BTC=115,000ドル換算) |
含み益 | 約6億1,400万ドル(取得価格ベース) |
この取得により、コインベースは企業のビットコイン保有ランキングで3位に浮上し、従来上位に位置していたテスラを上回りました。
テスラを上回った背景
テスラのBTC保有の変遷
テスラは2021年2月に15億ドル相当のビットコインを取得し、企業としてのビットコイン保有の先駆けとなりました。しかし、2022年の市場下落局面では約75%を売却し、現在は約11,509BTC(約13億2,000万ドル相当)を保有しています。
コインベースがテスラを上回った意義
暗号資産ネイティブ企業の台頭
取引所としての立場を活かし、自社でもビットコインを積極的に取得する戦略を打ち出しました。
収益源の多角化
取引手数料に依存しない収益基盤の構築を目指しています。
ビットコインへの長期的なコミットメント
アームストロングCEOの声明通り、単なる投機目的ではない長期的な投資姿勢を示しています。
ビットコイン保有企業ランキング(2025年8月現在)
2025年8月時点での主要企業のビットコイン保有状況は以下の通りです
1 | マイクロストラテジー | 628,791 BTC |
2 | マラ・デジタル | 50,000 BTC |
3 | XXI | 43,514 BTC |
4 | ビットコイン・スタンダード・トレジャリー・カンパニー | 30,021 BTC |
5 | ライアットプラットフォームズ | 19,225 BTC |
6 | トランプメディア&テクノロジーグループ | 18,430 BTC |
7 | メタプラネット | 17,132 BTC |
8 | ギャラクシーデジタルホールディングス株式会社 | 12,830 BTC |
9 | クリーンスパーク株式会社 | 12,608 BTC |
10 | コインベース | 11,776 BTC |
参考:BitcoinTreasuries.NET(海外サイト)
コインベースの戦略と市場への影響
コインベースの戦略
1. バランスシートの強化
現金に代わる価値の保存手段としてビットコインを位置付けています。
2. 長期的な投資戦略
短期的な価格変動に左右されない長期保有を基本方針としています。
3. 機関投資家向けサービスの強化
自社でビットコインを保有することで、機関投資家向けの信託サービスとの相乗効果を狙っています。
市場への影響
機関投資家の参入促進
主要取引所が自らビットコインを保有することで、機関投資家の参入障壁が下がることが期待されます。
規制環境の整備
米国をはじめとする各国で、企業のビットコイン保有に関する会計・税制面での整備が進む可能性があります。
市場の成熟
企業によるビットコイン保有が一般化することで、市場全体の流動性が高まることが予想されます。
今後の注目点
コインベースのさらなる買い増し
- 2024年後半以降も取得を継続するか
- 価格下落時の買い増し戦略
- 他の暗号資産への投資拡大の可能性
他企業の動向
- テスラの巻き返し
- 新規参入企業の動き
- マイクロストラテジーとの差の拡大・縮小
市場への影響
- ビットコインの需給バランスへの影響
- 価格形成への影響
- 企業決算への影響
まとめ
コインベースのビットコイン大量取得は、単なる資産運用の一環というだけでなく、同社がビットコインの長期的な価値を強く信じていることを示すメッセージと捉えられます。テスラを上回る保有量となったことで、コインベースは単なる取引所としてだけでなく、ビットコインを戦略的資産として位置付ける企業としての存在感を強めました。
特に注目すべきは、コインベースが現金に代わる価値の保存手段としてビットコインを位置付けている点です。これは、インフレヘッジとしてのビットコインの役割を改めて浮き彫りにするものです。
2024年後半から2025年にかけては、ビットコインの半減期を控えており、企業によるビットコイン取得が新たな段階を迎える可能性があります。投資家は、コインベースの今後の動向だけでなく、他の企業の動きにも注目する必要があるでしょう。
また、米国を中心とした規制環境の整備が進めば、さらに多くの企業がビットコインをバランスシートに組み入れる可能性もあり、今後の展開から目が離せません。